プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷の原則)は筋トレをおこなう上では欠かせません。
トレーニングで筋肥大や筋力アップを目指すための基本原則で、簡単に言うと少しずつ負荷(ストレス)を上げていくこと。
カラダは強いストレスを受けるとそれに適応しようとする能力が備わっており、それが筋力トレーニングです。
日々のトレーニングではこのプログレッシブオーバーロードの原則に当てはめることで、着実に筋力向上や筋肥大を促すことができるようになります。
今回はそんなプログレッシブオーバーロードについて詳しく解説していきたいと思います!
Contents
プログレッシブオーバーロードとは
プログレッシブオーバロードは筋肥大や筋力の向上を継続して起こしていくためのトレーニングの基本原理です。
そもそも人間のカラダは強いストレスを受けるとそれに適応する能力が備わっており、それを応用したものが筋力トレーニングです。
ただし、カラダとって「筋肉が大きくなる」ことはエネルギー燃費が悪くなるので、日常的に受けているような低強度のストレスではそう簡単に大きくなってはくれません。
つまりネガティブな人間のカラダに対して、「大きくなる必要がある」と感じさせるような高強度のストレスを与えることが必要。
この筋肉を大きくするために必要な要素(ストレス)を満たす原則がプログレッシブオーバーロードというわけです。
プログレッシブオーバロードは「漸進性過負荷の原則」とも言われ、これには「漸進性」と「過負荷」という2つの要素が含まれています。
オーバーロード(過負荷)
オーバーロード(過負荷)とは「許容以上の負荷が加わる状態」という意味で、日常的な刺激以上の強い負荷を与えることを指します。
簡単に言うと何十回とできるような軽い負荷では、カラダにとっては運動や体操と同じようなものであり充分なストレスにはなりません。
つまり筋肉を大きくするためには非日常的な強いストレスを与え、過負荷の環境を作ってあげることが必要不可欠なのです。
プログレッシブ(漸進性)
漸進性とは「順を追ってだんだんと」または「少しずつ」という意味です。
オーバーロード(過負荷)の状態を順を追ってだんだんと進める、つまり少しずつ負荷を上げていくということです。
例えば、いつまでも同じ重量を同じ回数だけこなす場合、初めは過負荷であったとしても回を重ねるにつれて簡単にこなせるようになります。
そうなると筋肉にとっては日常的な刺激となり、ある一定以上は成長する必要を感じなくなるのです。
そこで設定していた重量・回数がこなせるようになったら、さらに負荷を加えることで常に「過負荷の環境」を作ってあげる必要があります。
少しずつ段階的に過負荷の環境を作り出し、適応させていくことが継続的な筋肥大・筋力アップにつなげることができるのです。
プログレッシブオーバーロードの実践方法
プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷)は少しずつ負荷を上げて過負荷の環境を作り出すことで筋肥大を促すということがお分かりいただけたかと思います。
では実際、トレーニングにおいて過負荷の環境を作るたまにはどうすれば良いのか。
まずは過負荷を生み出すための要素について紹介していきたいと思います。
過負荷を生み出す5つの方法
過負荷の環境を生み出す方法は大きく分けて5つあります。
重量を加える
重量を加えて負荷を上げる、最もシンプルな方法です。
設定している重量と回数がクリア出来たら、2.5kg~5kg刻みで少しずつ扱える重量を伸ばしていく方法です。
回数・セット数を増やす
トレーニングの回数やセット数を増やす方法です。
例えば10×3セットがクリアできたら、次は12回×3セットにしたり、10回×4セットを目指すことボリュームを上げることができます。
動作の速度を落とす
トレーニングの動作の速度を落としゆっくりとおこなう方法です。
筋肉の緊張時間が長くなるので、その分負荷のボリュームも大きくなります。
難易度を上げる(可動域を広げる)
手幅を広くしたり、角度を加えるなど、トレーニングの難易度を上げる方法です。
重りを加えられない自重トレーニングなどで取り入れられるやり方です。
インターバルを短くする
セット間の休憩時間を短くする方法です。
90秒とっていたインターバルを60秒にするなど回復が短くなるほど負荷が上がります。
最優先は「重量を加える」こと
過負荷の要素を紹介しましたが最も優先するべきなのは「重量を加える」ことです。
これらの要素にはすべて同じ効果があるというわけではなく、回数やセット数を増やしたり、動作の速度を変えるといった過負荷の要素は永遠と伸ばしていくことが難しく漸進的な調整ができません。
つまり重量を追い求めることがシンプルだが一番わかりやすくて筋肥大に直結しやすいと言えます。
重量が伸びていれば「正しいトレーニングができている=筋肉が増えている」というように、見えずらい筋肥大の指標として考えることができるのです。
プログレッシブオーバーロードの例
プログレッシブオーバロードを実践する場合の例を見てみましょう。
これはトレーニング初心者がベンチプレスをプログレッシブオーバーロードの原則にあてはめて行ったときの記録です。
初心者の場合はベンチプレスやスクワット・デッドリフトと言ったコンパウンド種目をベースに5×5のストレートセットがオススメです。
5×5のストレートセット法は全セット同じ重量を5レップ×5セットおこなう手法で、重量の進捗をつかみやすく着実に伸ばしていくことができます。
まずは余裕がある重量から始め、最終セットがぎりぎりこなせるような自分の重量を見つけましょう。
そして設定回数がクリアできたら重量を加える、ということを繰り返しおこなうことで過負荷の環境を継続的に作り出すことが可能です。
重量の上げ幅はベンチプレスの場合は+2.5kg刻み、スクワット・デッドリフトでは5kg刻みが目安となります。
しっかりと記録をとる
プログレッシブオーバーロードを実践するためには必ず記録をとるようにしましょう。
トレーニング毎に毎回レップ数が伸びているか、重量が伸びているかを判断することが重要です。
スマートフォンにメモしたり記録アプリなんかもあるので、うまく活用しながら効率の良いトレーニングを目指しましょう。
低迷したときは「ピリオダイゼーション」を用いる
5×5のストレートセット法は初心者には特に効果的で、筋力アップ・筋肥大を着実に進めることができます。
しかしある一定レベルまで来ると重量の伸びが低迷する、いわゆる停滞期が訪れることがあります。
そこで停滞していると感じたらピリオダイゼーションを用いて、トレーニングに変化をもたらし停滞期を打破することができます。
ピリオダイゼーションの例
- 1~4週目:中重量(MAXの70~80%)で8~12レップ
- 5~7週目:高重量(MAXの85~90%)で4~6レップ
- 8~9週目:低重量(MAXの60%前後)で15レップ以上
このように重量や回数に変化を付けてあげることでストレスへの慣れを防ぐことができます。
ただし重量を変えた場合でもプログレッシブオーバーロードの原則に当てはめることは忘れてはいけません。
それぞれのフェーズでしっかりと重量を伸ばしていくように心がけましょう。
プログレッシブオーバーロードのまとめ
トレーニングでうまく筋肥大や筋力アップを促すためには、プログレッシブオーバーロードに当てはまっているかどうかがカギを握ります。
筋肥大・筋力アップに関わらず、やはり重量にこだわることが最もシンプルなプロセスとなります。
トレーニングの進め方に迷ったらまずはこの原則に当てはめて取り組むようにしましょう。